業績と時短を両立させる最強のチームビルディング式働き方改革

お問い合わせ

COLUMNコラム

2021.01.04

有休取得と生産性向上の両立なんて無理、と思った時に考えるべきこと

有給休暇取得義務と生産性向上を実現するには?

 

 

社員に有給休暇を5日取得させろと言われても、困るんだよね!

だって働きたい社員だっているんだから・・・・・

 

この言葉はある会社の社長のぼやきです。

 

年次有給休暇の5日間の取得義務の制度が始まってから1年半がたちました。

小規模な企業でも「5日間有給休暇を取らせないといけない」ということは浸透してきたようにみえます。

 

この有給休暇の5日間の取得は「義務」、つまり強制的にでも従業員に有休を取得させないといけないという制度です。例えば、従業員が休みはいらないといっても1年間に5日は企業側が取得させないといけません。歩合制を取り入れている企業では従業員が休みたくないということは多いようで、社長は頭を悩ませています。私にもどうすればいいかという相談がよくきます。

 

法律だから仕方なく制度を受け入れている企業がほとんどだと思いますが、なぜ5日間の有給休暇取得が義務化されたのか?これを知っている人はほとんどいません。今日はその理由について書いていきます。

 

日本の労働生産性は先進7カ国中の最下位

 

日本の労働生産性は諸外国と比べて高いと思いますか? それとも低いと思いますか?

結論から言うと、「低い」です。

 

 

 

出典元:日本の生産性の動向 2014年版

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/R107attached.pdf

この表からもわかるように日本の労働生産性は、「1人当り」も「時間当たり」共に低く、先進7カ国中の最下位という状態が20年以上続いています。上位は労働時間が短い国が独占しています。

 

つまり日本人は働いている時間が長い割には、生産性が諸外国と比べて低いという結果になっています。

出典元:長時間労働是正と柔軟な働き方の導入による生産性向上‐内閣府

 

こちらの表は一人当たりの生産性を示しています。

例えばドイツと比べた場合、日本の労働時間はドイツよりも圧倒的に長いのに、一人当たりの生産性はドイツより低いことがわかります。

 

ドイツでは働く人は週に30時間も働いていませんし、平均6週間の有給休暇はほぼ完全に消化していて、しかも有給休暇とは別に6週間までは有給で病欠を取ることができます。

 

 

 

これらの結果からわかることは、

日本人は働く時間が長いから賃金が高くなっている。

しかし、それを生産性に反映できていない。

 

つまり「無駄に働きすぎ」という結果になっているというわけです。

 

この事態を重く受け止めた国は、労働時間を短縮し、生産性を上げ、諸外国に追いつくためにまずは「労働者を休ませる」ことを重要視しました。そこから生まれたのが有給休暇の5日間の取得義務化なのです。

 

実際に現場で起こっていること

働きすぎであれば、まずは強制的に休ませることで、しいては日本の労働者一人当たりの生産性をあげることにもっていこうというわけですが・・・・・

実際の現場ではどんなことが起こっていると思いますか?

 

会社からは法律だから休めと言われるけど、仕事の量や内容はそのままだから、休むのつらいんですよ・・・・だから家に持ちかえって仕事しています。

 

歩合給制だから給料減るから休みたくないんですよ・・・・だから無理やり仕事にでています。

 

 

といったことが起きているのが今の仕事の現場での現状です。

 

 

仕事の内容ややり方を変えずに無理やり休みだけを増やそうとすることで、結果として制度導入前よりも従業員の仕事の環境が悪くなっている企業は数多くあります。

 

有休を取らせたり、残業を減らして労働時間を少なくするのであれば、今までの仕事のやり方のままでは無理が生じるので、まずこれまでのやり方、考え方を変えなければうまくいかないのです。

 

しかし、多くの企業はその根本的な問題に気がついていないか、気がついていてもどうやって手をつけていいかわからないようにおもいます。あるいは日々の仕事が忙しすぎてそんなことを考える時間なんて取れないよ、というのが実情ではないでしょうか?

 

法律だから仕方なく従い制度を導入するのではなく、法律だから制度を導入するのは仕方ないが、その一方で今までと同じ成果を出すためにはどうしたらいいのか?

 

こう考えて制度導入と仕事のやり方や考え方を同時に考えていくことで、

休みを増やすことと生産性を上げることを実現していくことができるようになります。

 

一度ゼロベースで考えてみよう

 

じゃあ、実際にどうやって考えていくと新たなアイデアがでてくるでしょうか?

 

これには様々な方法がありますが、おススメの方法としては

一度ゼロベースで考えていくことです。

 

例えば

自分のいる業界の常識を疑ってみる

自社の業種間でのとらわれを捨ててみる

部門の枠を超えて考えてみる

役職を離れて考えてみる

企業の限界を忘れてみる

成功体験を適用しない

 

といったキーワードをもとに

組織内で自由に意見だしを行います。

(ここでいう組織とは、部署単位、課単位等を指します)

 

自由に意見だしを行う際には付箋と模造紙を用います。

 

最初は各人が付箋に自由に意見を書き出します。

 

ここで重要なポイントが

意見だし、アイデアだしのときには「できる、できない」で考えないということを

意識することです。

 

あれはできる、あれはできない、

こう考えてしまうと自由な意見がでてきません。

 

なので、

アイデア出しの時には、できるできないは横に置いておいて、

自由に自分が思ったことを書き出すことがとても重要です。

 

アイデアがある程度出そろったところで

各人のアイデアを模造紙上でグルーピングしていきます。

 

この時のまとめ方も自由ですが、代表的なまとめ方として

 

グルーピングした中で

 

・最も意見が多いグループを結論とする

・興味深い2~3のグループをピックアップしてまとめ、結論とする

・全体を鳥瞰的に観察し、浮かび上がってくる共通項をまとめ、結論とする

 

というまとめ方もあります。

 

アイデアをまとめた後は、

実際に実現可能なアイデアを具体的に仕事の内容に落としていきます。

 

 

この方法はブレインストーミングといって

新たなアイデアを創り出すときには有効な手法です。

 

何かを変える時には

一度ゼロに戻って自由にアイデアを出し合うことで新たなものを見出すキッカケを

つかむことができます。

 

このようにお互いに意見出しをやって、できるできないを決めると言う過程では、

意見のぶつかり合いもおこるので、ふだんから組織の中でコミュニケーションがとれていることが必要になります。

 

日頃から、組織の中で何でも言える関係性を作るためにはどうすればいいのでしょうか?

まず一人一人の社員はそれぞれ違った考え方や価値観を持っていることを知り、その上で人の話を聞いたり、相手の考えを認めるということを日ごろからやっていくことで、ブレインストーミングをする時にもより意見が出やすくなります。

 

言い換えれば、組織の生産性を上げるためには、日頃からコミュニケーションをとって、関係性があることが必要になるのです。

 

 

休みを増やしながら生産性をあげる。

 

 

口で言うのは簡単ですが、実際に取り組むのは大変な労力が伴います。

だけど、この流れはもう止められないのです。ここから先はいかにして新たな制度に対応していく組織を創り上げていけるかどうかにかかっています。

 

そのためには今までのやり方の延長では対応できなくなります。今回ご紹介させていただいたような「今までにない考え方」を用いることで、制度に対応しながら生産性を上げていくためには必要なことです。

 

ぜひ一度仕事の現場の状況を振りかえって

自社の仕事のやり方が新たな時代の流れにあっているかどうかを考えてみてください。

 

 

初瀬川 達郎

初瀬川 達郎

福井社労士事務所 代表

担当地域:全国

大学卒業後、地元の会計事務所に就職。 日々経営者の相談を受けるも、会社は「数字」だけでは変わらないことを痛感し、 社労士として独立。その後組織開発の道に進み、法律だけでは解決できない組織の本当の問題の解決に力をいれています。

初瀬川 達郎が書いた記事