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COLUMNコラム

2022.03.30

変わるリーダー:カリスマリーダーからチームの要へ

管理職は、職場のリーダーとしてその責務を全うする立場にあります。

 

メンバーを育成し、良いチームを作り、成果を積み重ねるのがリーダーの役割ですが、「言うは易く行うは難し」で、そんなことを実現しようと実際に行動してみるとすぐにいろいろな問題にぶつかります。

 

くじけそうになる瞬間は何度もやってきます。しかし、それでもやり抜かなくてはならない厳しい現実と常に向き合わなければなりません。

 

一体どうすればリーダーとしてのモチベーションを維持できるのでしょうか?

 

 

リーダーのモチベーション

モチベーションとは、「人が何かをする際の動機づけや目的意識」です。高い方が良いのは当然のことでしょう。

 

モチベーションが上がると、人は集中して業務に取り組むことができますし、仕事に対する充実感も高まり、新しい領域にもチャレンジしやすくなります。

 

反対にモチベーションが低下すると、まず、自発的な行動ができなくなります。 仕事への意欲が湧かないため、業務をこなすだけになってしまったり、必要最低限の仕事しかしなくなる、といった状態になります。仕事を「やらされている感」が顕著になり、楽しく働けなくなります。

 

特にリーダーのモチベーションは、個人だけでなくチーム全体にも大きく影響します。リーダーのモチベーションが高いと、職場内に目標を達成するためのいい空気が作り出されます。

 

逆にリーダーのモチベーションが下がっている時は、チーム全体の士気が下がったり、職場の雰囲気が悪くなるなど負の影響が広がってしまいます。

 

 

リーダーは孤独だ

前職のパチンコ店で勤務していた時のことです。事務所で仕事をしている時に、上司である店長がふと口に出したことばが心に残っています。

 

「店長って孤独なんだよね」

 

私はもうすぐ店長になるという時でしたが、正直なところ店長の言葉の意味が理解できませんでした。店舗にはスタッフも多くいるわけで、決して一人で働いているわけではありません。仕方がないので、その時は「そうですねー」と話を合わせました。

 

その後店長になった時、私はようやくその時の店長の言葉の意味がわかったのです。

 

店長は孤独です。もちろんお店にスタッフはいるけれど、スタッフには出来ない相談も多い。予算調整などもそうですが、ややこしい人間関係の問題など、部下にはなかなか相談できない内容もあります。

 

そんな悩みは、上司や他の店長に相談することになりますが、お互い忙しく、店舗も離れています。電話で話すにしても、事務所にスタッフがいると聞こえてしまいます。思ったらすぐに気軽に相談できるような環境ではありません。

 

店長になって少したったころ、精神的にかなりしんどかった時期がありました。売上げも思うように上がらず、自分一人でやることには限界を感じていましたが、自分は店長だし、責任を持ってなんとかしなきゃと思って、精神的に追い詰められていきました。

 

ついに、自分一人では無理だ、と思った時に私は気づいたのです。自分一人でなんとかしようと思っていたけれど、そうではない。みんなで仕事してるんだから、みんなで協力してやればいいんだ。私のやりたいことはみんなに協力してもらってやる。同じように、スタッフ一人一人のやりたいこともみんなでやればいい、と考えが全く変わったのです。

 

そうはいっても、今までトップダウンでやっていた私が、いきなりスタッフから意見を出してもらおうとしても、私もスタッフも最初はやり方もわからず、はじめは苦労しました。

 

しかし、あれこれ模索しながらやってみるうちに、少しずつ前に進んでいくことができました。そして、次に転勤で別の店舗に移る頃には、スタッフのアイデアからいい施策を選んでやっていくやり方が確立し、それからの店舗でもその方針でやっていきました。

 

メタ思考で考える

店長時代の自分を振り返ってみると、最初のころ多くの悩みを抱えてモヤモヤした状態では、モチベーションは上がりませんでした。自分ではそのつもりが無くても、もしかしたら、仕事も中途半端になっていたかも知れません。

 

思い返せば、自分のモチベーションがダウンしていた時は、私の表情や態度にも出ていたのでしょう。スタッフが話しかけに来ることは少なかったように思います。

 

しかめ面でため息ばかり、そんなリーダーを見た時、メンバーはどう感じるでしょうか? このリーダーと一緒に働きたい、ついていきたい、とは思わなかったでしょう。

 

そんなことを考えたとき、自分は店長として、リーダーとして働いているが、スタッフからはどう見えているのか、ということを考えるようになりました。

 

それまでも考えなかったわけではないのです。しかし、人の評価を気にしたり嫌われるのを恐れて自分のやりたい仕事が出来なくなるのは嫌だ、と思っていたので、一人で問題を抱え込むことも少なくありませんでした。その結果、人に相談できない悩みがどんどん増える悪循環に陥っていると気付いたのです。

 

この時、私はまずリーダーが楽しく働く、少なくとも楽しく働いているように見せることが大事だなと感じ、意識したのが「メタ認知」でした。

 

メタ認知とは、自分の認知活動を客観的にとらえる、つまり自らの認知(考える・感じる・記憶する・判断するなど)を認知することです。自分自身を超越した場所から客観的に見ることに加えて、自分自身をコントロールでき、冷静な判断や行動ができる能力までを含めて、メタ認知能力と呼ばれています。

 

メタ思考とは何か

このメタ認知により一つ上の視点から客観的に見てみよう、というのがメタ思考です。

メタ思考の必要性は大きく三つあります。

 

一つ目に、私たちが成長するための気づきを得られることです。まずは、自分がいかに知らないか、自分がいかに気付いていないかを認識することが、成長のための第一歩です。

 

二つ目に、思い込みや思考の癖から脱することです。思い込みとは、自分(の考え方)が正しくて当たり前だと、疑っていない状態の事です。気づきにも繋がりますが、成長するためには、自分は間違っているかもしれないと、常に自分自身の価値観を疑ってみることが重要です。

 

一方、思考の癖というのは、私たちが無意識に持っている視野の狭さ、あるいは思考の盲点です。客観的に眺めることにより、視野の狭さを自覚することが出来ます。視野の狭さの最大の落とし穴は、視野の狭さに気づいていないことだからです。

 

最後の三つ目は、前の二つで得られた気付きや発想の広がりを基にした創造的な発想が出来ることです。「なぜ?」という問いかけによって視点を上げて新しい方法を考え出したり、問題を抽象化することで、たとえば異業種の事例からヒントを得て斬新なアイデアを生み出したり、ということが可能になります。

 

参考:メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問

著:細谷 功  PHPビジネス新書

 

私の場合は、店長の私がすべて一人でやらなければならないという思い込みがはずれて、スタッフにもアイデアを出して貰い、その中でいいアイデアをみんなでやっていけばいい、と気づいたのです。

 

 

メタ思考に必要なこと

 

メタ思考をするために必要なことは、ズバリ「素直さ」です。

 

思い込みが激しい、他人の話を聞かない、自分の立場を特別なものだという意識が強い、というような人には、メタ思考は難しいかと思います。

 

思い込みは、その人の価値観です。今まで信じて生きてきた価値観を自ら否定することは、非常に苦しいことかもしれません。

 

しかしながら、今までやってきたことでも常に疑問を持ち、「本当にこれでいいのか?」と視野を広く持つことで、新たに気付くこともあれば、他者の意見を聞き入れることも可能で、その結果今までより良くなることもあるでしょう。

 

視野が狭いままでは、仮に間違った方向に進んでしまっていたとしても、それに気づくことはできません。行動力のあるリーダーであればあるほど、その影響は更に大きくなるでしょう。

 

自分自身をメタ思考で客観的に見て、いろいろな気付きが得られ、やりたい行動を思いついたとき、次はどうすればいいのでしょうか? もちろんすぐに行動に移せば良いわけですが、思いついたすべての事を自分一人で出来るか、となると難しいことだと思います。

 

時間をかければ可能かもしれませんが、市場環境の変化のスピードも速い現代社会において、時間をかけてでも自分自身ですべてを行うことがベストな選択でではないでしょう。やはり、チームで取り組み、効果的に成果を出していく方が望ましいのではないでしょうか?
あくまでも、そのチームの中で中心的な役割を担っているのがリーダーというわけです。

 

 

以前に書いたリーダーシップに関するコラムも、参考にしていただけると幸いです。

令和時代のリーダーの役割は、チームの司令塔になることだ

 

ある程度メンバーに任し、それぞれのメンバーが得意な分野で活躍させるのもリーダーに必要なことです。

 

そうすることにより、それぞれのメンバーのモチベーション向上に繋がります。

 

メンバー一人ひとりのモチベーション向上が、やがて組織全体の士気(=モラール)の向上に繋がります。ただリーダーが鼓舞しているだけで、モラールが上がるわけではありません。

 

自分の店長時代を振り返ってみると、店舗の雰囲気が良い時は、スタッフそれぞれがやりたいことをしていた時でした。

 

もちろん、何でもやって良いわけではないので、要望があったら事前に精査しますが、チャレンジ的な要素が多くても方向性が間違っていなければOKを出しました。

 

やはり、自分で考えたアイデアを自分で形にした時が、やりがいを感じて活き活き仕事をしているなというのを、そばで見ていても感じることが多かったように思います。

 

スタッフの得意な事や、やりたいことをある程度任せて、私は自分のやるべき業務に集中する。任せられたスタッフはモチベーションが上がりますし、私もやりたいことができるので、自分のモチベーションも上がります。

 

更には、モチベーションの上がっているリーダーやスタッフを見て、他のスタッフも釣られてモチベーションが上がってきます。

 

これが好循環のモチベーションサイクルであり、周囲の環境や雰囲気はチームの成長にとっての大事な要素なのです。

 

 

 

リーダーとしてどうあるべきか、一度自分を見つめてみよう

 

リーダーは孤独です。部下には相談しにくい悩みもあるでしょう。

 

しかし、それも考え方次第です。現代のリーダーシップは、先頭に立ってチームを引っ張っていくものではなく、メンバーとスクラムを組んで進んでいくために、チームをまとめることです。

 

そのためには、メンバーとの信頼関係が重要です。業務の知識やスキルも必要でしょうが、誠実さや優しさという人間性が求められていることも事実です。むしろ、人間性に魅力あるリーダーの方が親しまれ、メンバーとの信頼関係の構築が出来るはずです。

 

リーダーとしてチームで成果を出すことを求められているならば、常にカッコいいリーダーであり続ける必要もありません。逆に、支えてあげたくなるリーダー、というのも良いのではないでしょうか。 近寄りがたいカリスマリーダーより、親しみあるリーダーの方が、メンバーとのコミュニケーションも取りやすいでしょう。

 

わからないことは「わからないから教えて」と、部下に素直に言えるリーダーである方が望ましい姿ではないでしょうか。メンバーは「自分が頼られている」と実感し、モチベーションも上がるのです。

 

リーダーとしてどうあるべきか、一度自分自身を客観的に見つめてみませんか?

上口 幸博

上口 幸博

株式会社豊明コンサルティング 代表取締役

担当地域:全国

最大手パチンコ法人にて約20年勤務。在籍中に働き方改革の取り組みへトライアルから参画し、全国展開への礎を築くことに尽力。現在は独立し、チームビルディング、アンガーマネジメント、働き方改革のコンサルタントとして活動中