業績と時短を両立させる最強のチームビルディング式働き方改革

お問い合わせ

COLUMNコラム

2020.12.07

チームビルディングゲームで組織の成果をあげるたった一つの方法

最近はチームビルディングという言葉も少しずつ市民権を得ていて、「チームビルディング」をググってみると、結構たくさんの記事がでてきます。そして、大体の記事の最後にはチームビルディングのためにはゲームをするといい、というようなことが書かれています。

 

昨今は会社や組織のチームワーク向上を目的に、運動会やゲームイベントを実施したりするところも復活してきました。こういうイベントでメンバー同士が仲良くなるのはいいことです。イベントが終わったばかりだと、その時の熱気が残っていて、楽しく話せるかもしれません。同僚同士なら、ちょっとは近い関係になれたかもしれません。

 

ただ、このようにゲームで関係が良くなったら、それを仕事にも活かせるのでしょうか?
上司と部下、あるいは同僚どうしで仕事がうまくいくようになるのでしょうか?

 

ゲームイベントが悪いわけではありません。懇親会が目的なら単に楽しかった! でいいでしょう。しかし会社や組織のチームワーク向上が目的で、運動会やゲームイベントをやった場合、それで目的を達成したといえるのでしょうか?

 

チームビルディングとチームワークの違いとは?

チームビルディングとチームワーク、この2つは似ているようで違います。

その違いはなんでしょうか?

 

チームビルディングとは、「外部環境の変化の大きい時代に継続的に業績を上げ続けるために、その変化に適応できる組織づくりをすること」です。そのためには「人材力」「組織力」「関係力」の3つの力がポイントとなります。

 

  • 人材力 人と人は違うということを、自分も周囲も理解し、それぞれの強み弱みを活かすことを大事にすること
  • 組織力 多様なメンバーが集まって成果を出すために、共通の目的目標やルールなどを決めること
  • 関係力 多様なメンバーの強みを活かすコミュニケーションを理解し実践すること

参照 最強のチームビルディング®とは―3つの力が組織を変える

 

 

一方のチームワークとは、誤解を恐れずに表現すれば「みんなで力を合わせて目標達成にむけて頑張ろう」という感じです。チームビルディングと比較して、「人材力」の要素がないのです。それぞれの強みや得意なこと、考え方の癖や価値観などを知らないまま、ただ、がんばろう!と言っているだけのようにとらえられます。

 

では、なぜチームビルディングが有効なのでしょうか?

 

チームで成果をあげるためには、まず人材力がキーになるからです。社員一人一人が「自分と他人は考え方も価値観も仕事のやり方も違うのだ」ということを腑に落とさずに、成果をあげることは難しく、チームビルディングを取り入れると、この考え方が徐々に身に付くようになるのです。

 

このようにチームワークとチームビルディングが違うと言いきれるのは、ここ数年で私が痛切に感じてきたことだからなのです。

 

雰囲気はよくても仕事で成果が出にくかった私の会社

 

私は社員30人くらいの土木コンサルタントの会社を経営しています。

今から8年前までの私の会社は、体育会系でコミュニケーションも上から下への一方通行でした。会社の雰囲気もギスギスして風通しが悪く、毎年1~2名の社員が会社の雰囲気が嫌で辞めていたのです。

 

ある年、一人の社員がメンタル不調になりました。ショックでした。私は会社を根底から変えようと思い、ワークライフバランス経営に取り組みはじめたのです。まだワークライフバランスという言葉もなかった時代、「業界のフロントランナーを目指そう」というビジョンを掲げ、 社員とも共有し、長時間労働が当たり前のこの業界で、残業をやめよう、 有給をとろう、と取り組んできました。

 

私が積極的に社員と面談をするようになったこともあり、社員同士もお互いに意見も言えるようになり、雰囲気が良くなってきました。業務の一環としてのバーベキューや登山、釣り大会、などの社内イベントを毎月のように社員主導でやりました。社員は私が驚くくらい率先して互いに協力して計画、実行もし、社内の風通しも良くなりました。

 

しかし、それで仕事でのコミュニケーションがよくなったかと言うと、そうではなかったのです。社員たちは、お互いに利害関係のないイベントでは協力できても、 仕事ではそれぞれが自分のやり方を主張して譲らず、なかなかうまくいきませんでした。今から思えば、この時の私の会社はチームワークは良かったけれども、チームビルディングはできていなかったのです。

 

衝撃をうけたチームビルディングゲーム

そんなある日、 友人から勧められてチームビルディングのセミナーに参加しました。そのセミナーでやったチームビルディングのゲームで、私は脳天を割られるような衝撃を受けたのです。ゲーム自体は私にとってはそれほど難しいものではなく、短時間でできました。しかし、全員で協力して完成させるはずのゲームを、私は自分一人でやってしまったのです。

 

ゲーム後の振り返りの時に、講師に「あなたは他の人を見ずに一人でやっていましたね。ほかの人がおいてきぼりになっているのは気付いていましたか? 会社でも同じことはおこっているんじゃないですか?」と問いかけられ、はっとしました。

 

私は自分では気付かずに、社内で一人で突っ走っていたのではないだろうか?
社内に、自分は置いてきぼりにされていると感じている社員がいるのではないだろうか?

 

会社の中はうまくいっていると思っていただけに、ショックでした。すぐにチームビルディングを会社に導入しようと決め、それからはチームビルディングを学びながら、1か月に1回チームビルディングの研修を全社員に行ないました。

 

社員たちは研修でゲームをした直後は、人によってこんなにも考え方が違うのか、という事実を知って衝撃を受け、それぞれの価値観を大事にしようと思うようでした。しかし、仕事の場面では「Aさんはは何をするのも遅い」とか、「Bさんのやり方ではうまくいくはずがない」など、他人に自分のルールを押し付けようとしてしまう、そういう場面を何度も見てきました。

 

私は毎月社員と面談し、社員の話を聞きながら、「あなたとAさんは考え方や価値観が違うんだ。Bさんの仕事のやり方はあなたとは違うんだよ」と伝え続けました。そのうち、お互いにAさんはこういう価値観の人だから、Bさんはこういう人だからと、社員たちは少しずつ相手が自分の思った通りにやらなくても、なぜその人がそんな行動するのかが理解できるようになってきたのです。

 

チームビルディングを導入して約3年が経ち、社員はやっと、「人によって価値観も考え方も仕事のやり方も様々で、けして自分と同じではないのだ」ということが腑に落ちるようになり、チームとしての仕事への取り組み方が良くなりました。今後は一人一人の強みを活かして会社全体のパフォーマンスを上げられるような組織にしていこうと思っています。

 

チームビルディングのゲームをうまく機能させるためにやるべきこと

 

このように、私の会社ではチームビルディングを取り入れる前から、運動会や社員旅行など多くの社内イベントをやっており、社内の雰囲気は良かったのですが、仕事でのコミュニケーションという面では、いろいろと問題がありました。チームビルディングを取り入れたことで、少しずつチームの成果が上がってきたと今は感じています。

 

単発で運動会やゲームをやったところで、すぐに社員一人一人が「相手には相手の価値観や仕事のやり方があって、自分とは違う。人それぞれに得意、不得意も違う」ということを肌感覚でわかって仕事に活かせるわけではないのです。つまり一回や二回ゲームをしたぐらいでは、簡単には「一人一人の得意分野を生かして協力して成果を生み出せるチーム」はできないということです。

 

私の会社では、研修でゲームをやったあとにしっかり振り返る時間をとり、この結果をどう仕事と関連付けるかみんなで考えます。私もことあるごとに「人の考え方や価値観は、あなたとはは違うんだよ」と伝え続け、社員どうしでもお互いに対話を重ねていくことで、ようやく「人と人とは違う」という意識が徐々に社員たちの間に広がっていきました。

 

チームの力が上がるためには人が育つことが必要です。人が変化するには時間がかかりますから、組織が変化するのにも時間がかかります。ですから、その変化に合わせて必要なゲームを体系的に実施することで、やっと社員一人一人の腑に落ち、チームとして機能できるようになるのです。時間はかかりますが、やり続けるとチームとしてのレベルがジワジワと上がってくるというのが私の実感です。

 

こういう理由から、私は今も懇親が目的の社員旅行や運動会は社員に任せています。しかし、会社の成果をあげるために最も重要だと位置づけているチームビルディングの研修は、毎月毎月私が先頭に立って行っているのです。

 

 

梶川 洋

梶川 洋

株式会社梶川土木コンサルタント 代表取締役

担当地域:全国

中小企業の現役経営者として自社で働き方改革の実績を上げるとともに、働き方改革の研修・コンサルティング支援を行う。経営者の目線で経営に資する取組みを信条としています。