業績と時短を両立させる最強のチームビルディング式働き方改革

お問い合わせ

COLUMNコラム

2020.10.12

部門間のもめごとをなくし、働き方改革をうまく進める3つのポイント

コロナ渦で急遽テレワークを始めた会社からよく聞く話があります。

「相手が見えないので、コミュニケーションが難しかったです。」

確かにそうかもしれません。

「では、コロナ前は コミュニケーションがうまくいっていたのでしょうか?」

 

営業部と製造部のリーダーの仲が悪い。営業部と人事部がいつも揉めている。

職場の課題の中で、「部門間の連携が悪い」という話は意外とよく聞きます。
会社は多くの部門が集まってできているので、部門間の連携が悪いと会社の生産性が下がります。
なぜ部門間の連携が悪くなるのでしょうか?

 

 

企業の6割が部門間のコミュニケーションに問題を感じている

 

2020年1月、2月にHR総研が企業の人事責任者・担当者331人に対して行った「社内コミュニケーション」に関するアンケート調査によると、「部門間」と「経営層と社員」の関係に課題を感じる企業が6割、コミュニケーションを阻害している要因は、「管理職・社員・経営層のコミュニケーション力不足」と「組織風土・社風」がオンラインやIT化の影響よりはるかに高い数値になっています。

 

出典 「社内コミュニケーション」に関するアンケート調査 結果報告(HR総研)
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=255

 

 

またパーソルラーニング株式会社が2013年にマネージャ-クラス1023人に対して行った「『人材開発白書2013』戦略実行力 —組織の壁と調査」では、部門間の壁を作る要因として次の5つをあげています。

・相互の方針のずれ

・相手組織の能力・人手不足

・自己の連携構築力不足

・部門重視の制度

・心理的なわだかまり

 

出典:「人材開発白書2013」「戦略実行力」 —組織の壁と調査(パーソルラーニング株式会社)

https://li.persol-group.co.jp/images/co_creation/images/fxli_wp2013.pdf

 

部門ごとの意識や認識のズレが部門間の連携を妨げる

部門間でのトラブルが起こるのは、同じ会社の中であっても、部門ごとに使命や目標、方針や戦略などの意思決定の前提となる考え方や認識が違うためです。実際の例をみながら考えてみましょう。

 

今年(2020年4月)から中小企業でも働き方改革法案が施行され、残業の総量規制が行われています。働き方改革の「旗振り役」を担っている人事部は、「法改正後、労働基準監督署の調査も始まっている。残業はいかなる場合も月45時間までにおさえ、協定で定めた時間を超えない事こそ最も重要」と思っています。

 

営業部は「コロナ渦で売上が不安定な中、発注して頂けるお客様の要望には100%以上で答えたい。数字が一番、労働時間は二の次だ」と思っています。製造部は「コロナ渦で受注が不安定で人員の調整が大変だ。工場が一部休業しているときは生産量も落ちるから、納期は通常より遅れると営業はお客様には説得して欲しい」と思っています。経理部は、「決算前なので各部門ともに早く売上と経費の予想を出して欲しい。不確定要素が大きく、とにかく早く決算数字や賞与原資も仮確定させたい。」と思っています。

 

それぞれの部門が思っていることは、それぞれに正しいことなのですが、全体でみると主張がバラバラで噛み合っていません。

 

このような状態の会社の雰囲気はどんな感じでしょう?楽しそうですか?生産性や売上はどうでしょうか?もしこの会社が自分の会社だったとしたらあなたはどのように対応しますか?

 

部門間の連携を生む3つのポイント

 

部門間がうまく連携するには3つのポイントがあります。

1会社全体でビジョンを共有する

2相手の立場に立って相手にとっての利益を考える

3ふだんから部門間の関係を良くするよう努力する

 

1会社全体でビジョンを共有する

私たちの考える「働き方改革」とは「こういう会社でありたい」という会社のビジョンを実現するためのものです。現在、あなたの会社にそのようなビジョンはありますか?また、会社のビジョンは全部門で共有されているのでしょうか?部門間の連携を強化するには、まず会社のビジョンを実現しようと社員全員が思うことです。そのためには「何のための働き方改革か」、「何をどのように変えたいのか」というビジョンをトップが社員に伝え続けることが大切です。

 

 

2相手の立場に立って相手にとっての利益を考える

部門間の連携がうまくいかないのは、部門ごとに方針や関心ごとがずれていたり、戦略や課題が共有されていないことが原因です。会社のビジョンを実現するためには、自部門の目標を達成するだけでなく、一段上の視点から俯瞰してみて、お互いの立場をわかった上で部門間でうまく調整する必要があります。

 

例として「働き方改革における残業削減」について考えてみましょう。労働時間を管理するのは人事部の役割ですが、やみくもに残業削減を訴えても他の部門から反発されます。工場を休業させると納期が遅れるのでなんとかしたいという製造部の立場、お客様の要望に100%応えたいという営業部の立場で残業削減がどう見えるのかを一度考え、何をどのようにすれば残業を削減しながら他の部門も満足できるのかを考えてみるのです。

 

同じ会社にいる以上、それぞれの部門は何らかの形で繋がっています。他の部門がやったことが自分たちの部門に影響を与えることもあれば、その逆もあります。自分の部門の事だけを考えるのではなく自分の部門が多少損をしても、他の部門の成果が上がれば、会社全体としてはそのほうがいい場合もあるのです。それぞれの部門の役割を明確にし、長い時間軸で会社全体をどうしていくか、その中にあって自分の部門はどうしていくかを考えることが大事になります。

 

3ふだんから部門間の関係を良くするよう努力する

テレワークが進んだことで、オンライン会議や、グループウェアなどを上手に利用して、離れていてもコミュニケーションがとれるようになりました。この環境を利用して、部門を横断して合同研修や合同ミーティングを行ってみましょう。グループウェアや社内S N Sなども積極的に利用してみると、対面ではなかなか意見が出にくい社員からも斬新なアイデアが出るかもしれません。

 

もし部門間で連携出来ていたらどんな良いことがありそうか、理想の姿を考えて見える化して共有するのです。どうやったら他の部門に貢献できるかを全員で考えてみたり、いろいろなアイデア出しをするなどもいいですね。その第一歩として、まずはお互いを知り気軽に話し合う機会を持つことからはじめてみましょう。

 

上司と部下、同期といったつながり以外にも、プロジェクトや協同研究への取り組みなど部門横断的な仕掛けも取り入れ、そこで対話することも、会社の絆や関係力を強くするには有効です。社内報や運動会などのイベントも効果がありそうですね。できれば部門間で定期的に配置換えをしたり、製造部のメンバーが営業部の訪問に同行したり、営業部のメンバーが製造を体験するだけでも、互いの理解が進みます。

 

このように、部門間で共通のビジョンの達成をめざすには、ふだんからのコニュニケーションを積極的にとるだけなく、お互いの仕事の状況や忙しさなどをわかった上で、必要な時に相談しやすい組織風土を作っておくことが大切です。

 

 

「こういう会社でありたい」を実現する組織をめざしましょう

 

ここで私の体験を少しお話します。前職では外国人とも一緒に仕事をしていたのですが、価値観の違いや相手の自己主張の強さに戸惑い、「分かり合えないに違いない」という思い込みや遠慮が自分にあった時は、うまくいきませんでした。ある問題を機に、それらの思い込みを手放し、「日本と外国の子育ての違い」「保護者は何を望んでいるのか」「子ども達の未来に何が出来るか」「日本の文化や外国の風習」など、お互いに様々な事を話すようになりました。。お互い見えていなかった部分を見ようとしながら、時間もかけて対話を続け、徐々に「新しい関係性」が構築できたように思います。そうすると職場の雰囲気もよくなり、結果的にお客様の満足度も上がり、営業的な数字も3倍に増えました。

 

 

コロナ渦は様々な経営課題が浮き彫りになります。オリンピックを目前にしても進まなかった働き方改革も一気に加速しました。今は経営課題を根本から変えられるチャンスでもあります。

「こういう会社でありたい」を実現するため全社でビジョンを共有し、それぞれの部門が時には痛みを分かち合いながら、時には自分の部門が多少損をしても、お互いの立場で物事を考え、会社全体としての生産性を上げていく。そのような組織への変革を、どういう時間軸で どのような戦略で どのように取り組むのがベストかを考え一緒に取り組みたいと、私たちは考えています。

 

関連記事

経営戦略としての働き方改革―ビジョン経営はルービックキューブで考える

 

 

鎌田 良子

鎌田 良子

特定社会保険労務士

担当地域:全国

週4正社員®︎制度を導入する社労士法人に勤務し、自ら新しい働き方を実践中。法律論だけでなく、経営者が大切にしている事を軸に、社員の強みが活かされ、会社が発展するしくみ、最適なアプローチを提案しています。