日々仕事をしていてこんなことを感じることはないでしょうか?
- 部下が思った通りに動いてくれない
- 仕事の手戻りが多く、自分の仕事に集中できない
- 指示待ちの部下が多く、指示出しに時間を取られている
- 結果、仕事の成果があがらない
このような悩みは「ビジョン」を活用することで解決することができます。
1.ビジョンとは、映像のようにイメージできる将来の絵
ビジョンには、将来の構想や展望、将来を見通す力、などの意味がありますが、ビジネスで使われる場合には、1年~10年くらいの期間での「将来の構想、展望」といった意味で用いられることが多いようです。私たちはビジョンを「映像のようにイメージできる」という意味で使っており、数年といった長期的なものも、8分後や8時間後といった短期的なものもビジョンです。
では、あなた個人の1年後のビジョンを細部まで明確に描いたとして、それを達成するためにはどうすればいいのでしょうか?
まず1年後にこうなっていたいという姿を描いてみます。その姿と現在の自分の状況と比較すると、この1年間に埋めなければならないギャップがわかります。次に、その間の地点である6か月、3カ月、1ヶ月、1週間、1日とブレイクダウンした目標を設定し、日々その進捗を確認し、達成に向けて毎日コツコツと行動していくことが必要です。
大切なのは個人の将来どうなりたいかという姿を明確にして、そのために日々実行していくことで結果につながることです。
2.会社と社員のビジョンの方向が会えば、社員にやりがいが生まれる
では会社の場合はどうでしょう?
会社のビジョンは企業理念、経営理念などともいわれていますが、現場で働く社員が、自分は会社の一員として会社のビジョンを実現するために仕事を頑張ろうと思わないことには実現できません。
しかし、人は自分にしか興味を持たないので、この会社で仕事をして将来自分がどうなるのかを描けないところで、「私はこの会社で頑張ろう」とは思いません。
反対に、「この会社のビジョンを達成した時には、自分はこうなれるんじゃないか」とか、「自分はいまやっている仕事をやることで、人として成長でき、会社にもこのように貢献できる」と思えたら、多少しんどい思いをしても頑張ろうと思えるのではないでしょうか?
会社によっては、企業理念、行動指針などを冊子として社員全員に配布し、朝礼や社員研修などで定期的に会社のビジョンについて社員が考える機会を作っているところもあります。社員は日々の業務の中で企業理念や行動指針について考え、自分の意見を述べることで、会社のビジョンを自分の将来の姿の一部としてとらえられるようになり、この会社で自分はどう成長したいかを考えるようになります。
このように対話をしながら社員ひとりひとりのビジョンと会社のビジョンの重なる部分を大きくしていくことを、最近はやりの言葉で「エンゲージメントを高める」というのだと私は考えています。会社のビジョンに対する共感が高まると、社員は熱意をもって仕事に取り組め、仕事の質が上がり、社員と会社の両方の成長につながります。
社員ひとりひとりのビジョンを組織全体の中で見るときに忘れてはいけないことがあります。人と組織の問題はルービックキューブのように相互に関係しあう複雑な問題だということです。
経営戦略としての働き方改革―ビジョン経営はルービックキューブで考える
社員ひとひとり考え方や価値観は異なります。それぞれに正しいと思うことがあり、さまざまな事情を抱えています。したがって、メンバー全員にとってベストな状態、すなわちルービックキューブが6面揃った状態になるとはどういうものなのか?についてお互いにやりとりするのです。全体を揃えるためには、相手はどんな価値観や考え方を持っていて、どのようになれば相手が満足するのか?を知る必要があります。ひとりひとりが自分の価値観や考え方だけに固執していては、全部の面を揃えることはできません。
3.社員がビジョンに共感できる会社にするためにやるべきこと
これらを踏まえて社員がビジョンに共感できる会社にするために、経営者や管理職がすべきことは、次の3つです。
- 経営者である自分自身のビジョンを明らかにし、それを社員に伝わるようにわかりやすくかみ砕いて説明すること。
- 仕事を割り振るときは、タスクだけではなく目的や背景、意味づけまでをセットで渡すこと。
- 会社で働く一人一人に関心をもち、彼らのビジョンを会社のビジョンに関連付けて聞くこと。
こうして、社員がビジョンに共感している会社になると、
- 部下が思い通りに動いてくれる
- 仕事の手戻りが減り、より重要な仕事に時間が使える
- 指示待ちの部下が減り、ストレスから解放される
といった結果を手に入れることができるのです。